Linux 版 GUARDIANWALL V6.0以前、WEBGUARDIAN V3.0以前のテープバックアップ機能において、
GNU tar の制約事項に関連し、バックアップデータが一部失われる問題が発生する可能性がございます。
以下に詳細を記載しますので、ご確認いただきますようお願いいたします。
※GUARDIANWALL V7.0以降、WEBGUARDIANL V3.1以降のバージョンでは該当いたしません。
1 内容
GUARDIANWAL、WEBGUARDIAN のバックアップ処理で「追加」を実行すると、
最初に「上書き」でバックアップしたデータと最後に「追加」でバックアップしたデータのみがテープに残り、
中間のデータ全てが消失する現象が発生する場合がございます。
問題が発生した際のバックアップ実行手順と、その際にテープに記録される内容を以下に示します。
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バックアップ処理内容 |
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テープの保存内容 |
1. |
「上書き」でデータ1を保存 |
→ |
データ1 |
2. |
「追加」でデータ2を保存 |
→ |
データ1,データ2 |
3. |
「追加」でデータ3を保存 |
→ |
データ1,データ3 (データ2消失) |
4. |
「追加」でデータ4を保存 |
→ |
データ1,データ4 (データ3消失) |
2 発生条件の該当有無確認手順
次の 2-1、2-2、2-3 の手順にて、ご利用の環境が該当するかどうかをご確認いただきますようお願いいたします。
2-1. 該当バージョンの確認
下記に該当するバージョンをご利用の場合は、2-2. の確認に進んでください。
下記以外のバージョンでは本問題は発生しませんので、以降の確認は不要となります。
問題が発生する可能性のあるバージョン
該当製品 |
該当バージョン |
GUARDIANWALL Linux版 |
V2.0、V3.1、V4.0、V5.0、V5.1、V5.3、V6.0 |
WEBGUARDIAN Linux版 |
V2.1、V2.3、V3.0 |
2-2. バックアップ保存形式の確認
ご利用の製品で実施されているバックアップ保存形式が「追加」の場合は、2-3. の確認に進んでください。
バックアップ保存形式が「上書き」の場合、本問題は発生しませんので以降の確認は不要となります。
バックアップ保存形式の確認方法
製品 |
バックアップ方法 |
バージョン |
バックアップ保存形式が「追加」かどうかの確認方法 |
GUARDIANWALL |
管理画面からのバックアップ |
V2.0, V3.1 |
「情報管理者」の管理画面で、
「保存メール管理」-「保存メールバックアップ」メニューを選択し、
「保存形式」で"追加" が指定されている
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V4.0, V5.0, V5.1, V5.3 |
「情報管理者」または「システム管理者」の管理画面で、
「保存メール管理」-「保存メールバックアップ」メニューを選択し、
「保存形式」で "追加" が指定されている
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V6.0 |
・ 「情報管理者」または「システム管理者」の管理画面で、
「データ管理」-「バックアップ」の「テープ」で "追加" が指定されている
・ 「情報管理者」または「システム管理者」の管理画面で、
「管理サーバー管理」-「拡張機能」から登録を行ったバックアップスケジュールに登録されているバックアップで
"追加" が指定されている
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スクリプト(backup.pl)によるバックアップ |
オプションに "--add" が指定されている
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WEBGUARDIAN |
管理画面からのバックアップ |
V2.1, V2.3 |
「運用管理者」の管理画面で「バックアップ」メニューを選択し、
「保存形式」で "追加" が指定されている
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V3.0 |
・ 「情報管理者」または「システム管理者」の管理画面で、
「データ管理」-「バックアップ」の「テープ」で "追加" が指定されている
・ 「情報管理者」または「システム管理者」の管理画面で、
「管理サーバー管理」-「拡張機能」から登録を行ったバックアップスケジュールに登録されているバックアップで
"追加" が指定されている
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スクリプト(wgBackup)によるバックアップ |
第5引数に"1"が指定されている
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2-3. ブロックサイズの確認
以下の方法でテープ装置のブロックサイズをご確認ください。
テープ装置にバックアップ用のテープを挿入し、以下のコマンドを実行します。
# mt -f <利用デバイス> status
以下のような内容が表示されますので、ブロックサイズを確認します。
SCSI 2 tape drive:
File Number=X, Block Number=Y, Partition=Z,
Tape block size NNN Bytes, Density code 0xNN ← NNN の部分がブロックサイズです。
ブロックサイズが 0 (可変長) または 10240 Bytes (10KB) の場合、本問題は発生しません。
それ以外の場合は「3 対処方法」にて対応を実施してください。
3 対処方法
以下 3-1、3-2 のいずれかの方法を実施していただきますようお願いいたします。
3-1. ブロックサイズを可変長に設定
バックアップ処理実行前に、以下のコマンドでテープ装置を可変長ブロックに設定します。
# mt -f <利用デバイス> setblk 0
※本設定は、システムのリブートやテープ装置のリセット、テープのリジェクト等によってテープ装置の既定値に戻ります。
また、他ソフトウェアによってブロックサイズが変更される可能性もありますので、
バックアップ処理実行前に可変長ブロックに設定されていることが確認できない場合は、
その都度必ず上記コマンドを実行してください。
3-2. 修正物件適用後の設定変更
テープ装置のブロックサイズを強制的に 0 (可変長)
に変更してからバックアップを実行させることが可能な修正物件をご提供いたします。
詳細はサポート窓口までお問い合わせください。
4 Linux標準のtar(GNU tar)コマンドの制約事項について (ご参考)
tar コマンドが保持している論理ブロック長 (10KB) とテープ装置の固定ブロック長が不一致の場合、
tar のファイル追加動作 (-r オプション指定) において、テープのリポジショニングが不整合となり、
追加データの書き出し位置が不正になります。
結果として、2回目以降に追加したデータが上書きされて消失します。