バックアップデータの圧縮率について
バックアップデータの圧縮は通常テープドライブ側で行われ、
NetWorker側では行いません。(NetWorkerの圧縮機能はデフォルトでは使用されません。)
NetWorker側での圧縮はバックアップ対象のクライアント上で行うため、LAN上を流れるデータ量は減りますが、CPUやメモリ等のサーバリソースを消費するためです。
データ圧縮率についてはテープへの書き込み容量を事前に計算する方法はありません。
極端に圧縮されやすいデータの場合、非圧縮時の容量の5倍、
またはそれ以上を書き込めることもあります。
しかし、逆に極端に圧縮されにくいデータの場合、
一般的に言われている2倍を下回る圧縮率になることもあります。
そのため一般的に言われている圧縮率2倍で計算するよりも、非圧縮の場合で計算した方が、
圧縮率が非常に悪い場合でもバックアップデータが入りきらないということにならず安全です。
テープ装置で圧縮され最終的にどの程度のサイズになってテープに書き込まれたのかを
NetWorker側で知ることはできません。
なぜなら、圧縮した結果をバックアップソフトに通知する仕組みがないためです。
そのためNetWorkerでは「どれだけテープ装置にデータ量を送り込んだか」という値が表示されます。
NetWorkerのリテンションポリシー(バックアップデータ保護期間)について
NetWorkerではバックアップデータを保護するために、
「リテンションポリシー」という設定が用意されています。
しかしこれはあらゆるアクセスからデータを保護してくれるわけではありません。
「リテンションポリシー」で守られている期間内でも、UNIXコマンドの dd や tar、cpioで
アクセスされた場合上書きされてしまいます。
他のバックアップソフトからアクセスされた場合も、
NetWorkerの媒体であると認識されないため、同様に上書きされてしまいます。
「リテンションポリシー」はNetWorkerからアクセスした場合に保護してくれる設定であり、
バックアップの世代管理をする際にある一定期間データを保護し、
それが過ぎたら上書きしてもよいという目印(マーク)です。
テープはシーケンシャルアクセス媒体(メディア、ボリューム)です
テープはシーケンシャルアクセス媒体であり、
バックアップデータの書き込みは必ず追記になります。
追記でなくなるのは、唯一テープ(ボリューム)が「再利用可能」となり、
再びテープの先頭から書き込めるようになったときだけです。
仮にテープ上のデータが以下のような状態になっても
□の部分だけを縫ってバックアップを書き込むことはできない
■:リテンションポリシー期間内のデータ
□:リテンションポリシー切れのデータ
テープの先頭 ■■■■■□■■□□■■■ 終端方向
テープへのバックアップは必ず追記になる
テープの先頭 ■■■■■□■■□□■■■←■■(新しいデータ追記)終端方向
追記にならないのは
テープ上のデータのリテンションポリシが全て切れて以下の状態「再利用可能」
になった場合のみ。
テープの先頭 □□□□□□□□□□□□□□□ 終端方向
この状態で次のバックアップが書き込まれると以下のように、上書き(当然、過去のデータは消滅します)して再びテープの先頭からバックアップデータの追記が始まる。
テープの先頭 ■■(新しいデータ追記) 終端方向 |
リテンションポリシーの解除はGUI操作でも行えますが、
無人自動バックアップのためにはリテンションポリシーを適切な長さに設定して自動的に解除していき
上書きを繰り返す設定にします。この部分がバックアップ設計の核となる部分と言えます。
具体的に数値を入力する形ではありませんが、
このリテンションポリシーの調整によりNetWorkerはバックアップの世代管理を行うことになります。
ディスクはシーケンシャルアクセス媒体ではなく、ランダムアクセス可能な媒体なので、
ディスクバックアップの場合、プロテクトが切れた場所を縫ってバックアップすることが可能です。
開封したばかりのテープをインベントリするときの注意
NetWorkerでは、インベントリ(テープの内容確認のためのスキャン)時に
テープには何らかのデータがあるものとして扱うため、
封を切ったばかりのまったく何も書かれていないテープを使用するとI/Oエラーになります。
新品のテープを使用する場合には必ず、NetWorkerでラベリングしてから使用してください。
ラベリング時にもI/Oエラーが発生しますが、それは無視してください。