テープの交換を行った場合、入れ替えたテープとスロットの対応を正しく認識させるための作業が必要になります。
これを「インベントリ」といいます。
インベントリにはNetWorkerのGUIであるNetWorker Management Console(以下NMC、バージョン7.5.1~)から行う方法と、コマンドで実行する方法の2通りがあります。また装置側に機能が用意されていれば、
テープライブラリのドアを開けることなくテープを交換することも可能なのでその点についても説明します。
NMCを使用する方法
- テープの交換を行う前に、NetWorker管理から[デバイス]を選択し、左のツリーから[ライブラリ]->[(テープ交換対象のライブラリ)]を選択します。
- デバイス一覧が表示されている左のペイン上でデバイスにテープがマウントされている場合は、右クリックしアンマウントを選択します。
- テープの交換を行います。
- テープの交換を行った後、NetWorker管理から[デバイス]を選択し、左のツリーから[ライブラリ]->[(インベントリを実施したいライブラリ)]を選択します。
- デバイス一覧が表示されている左のペイン上で右クリックし、リセットを選択します。
- リセットオペレーション終了後、テープ一覧が表示されている右のペインからテープ入れ替えを行ったスロットを選択し、
右クリックしてインベントリを選択します。
CtrlキーやShiftキーを使用し、スロットを複数選択することも可能です。
- 選択済みスロットが正しいか確認し、[OK]ボタンをクリックします。指定されたスロットに対してインベントリが開始されます。
コマンドを使用する方法
まずテープの交換前に、デバイスにマウントされているテープを全てアンマウントしスロットに戻します。
# nsrjb -u
テープの交換を行った後、インベントリの前に「-HE」オプションでどのスロットにテープが入っているかを正しく認識させるリセットを行います。
その後「-I」オプションで、全スロットのインベントリを行います。
# nsrjb -HE
# nsrjb -I
テープライブラリのうち、2,3本しか交換しなかったので一部のスロットのみインベントリを実行したい場合、以下のように「-S」オプションを追加します。
# nsrjb -HE
# nsrjb -I -S 開始スロット-終了スロット
開始スロット、終了スロットには、1や10など数値のみを指定します。
1スロットのみ使用したい場合は、"-"は不要なのでそのスロット番号の数字だけを指定してください。
アンマウント、リセット、インベントリの各処理を行うのがNetWorkerのストレージノードである場合、「-s NetWorkerサーバ名」を追加してください。(ストレージノードのサーバ名ではありません。)
テープライブラリが複数ある場合、実行するテープライブラリを指定するため「-j ジュークボックス名」を追加してください。
# nsrjb -s NetWorkerサーバ名 -u -j ジュークボックス名
# nsrjb -s NetWorkerサーバ名 -HE -j ジュークボックス名
# nsrjb -s NetWorkerサーバ名 -I -j ジュークボックス名 -S 開始スロット-終了スロット
テープライブラリのドアをオープンしないでテープを交換する方法
インポート/エクスポート機能(装置によって呼び方は異なります)がある装置の場合は、この機能を使用したnsrjbコマンドによるテープ取り込みやテープの排出を行うことができます。
インポート/エクスポート機能については、管理者ガイド
を参照してください。
テープを取り出す場合は以下のコマンドを実行します。
「-S」オプションで指定したスロットの媒体を「-P」オプションで指定したインポート/エクスポート用のスロットに排出します。
nsrjb -w -S スロット番号 -P インポート/エクスポート用スロット番号
排出後、取り出したスロットのインベントリは不要です。
※排出時にnsrjbコマンドを使用せず、集合装置のコンソール等からインポート/エクスポート用のスロットに移動させた場合は、インベントリが必要になります。
インポート/エクスポート用のスロットから任意のスロットにテープを取り込む場合は、以下のコマンドを実行します。
nsrjb -d -S スロット番号 -P インポート/エクスポート用スロット番号
その後、セットしたテープを認識させるためにインベントリを実行してください。
nsrjb -I -S スロット番号
「-S」オプションと同様に、「-P」オプションも「開始スロット-終了スロット」のように複数のスロットを指定することができます。
テープ交換時のポイント、注意事項
- バックアップに使用するボリューム(テープ)はNetWorkerサーバ上のメディアデータベースに登録されています。
以前使用していたテープを再度ライブラリ内に取り込んだときに、テープのラベル付け(登録)は必要ありません。
- インベントリは、ドライブや、テープに関連して間欠I/Oエラーが発生した場合有効な手段になることがあります。
テープがあるのにマウント要求が出る、あるいはテープのリードに失敗した場合、インベントリを行うことにより、
バックアップできなかった状況が改善し、バックアップ可能になる場合があります。
I/Oエラーなどでバックアップが一時的に不可能になった後、H/W部門に対処してもらって異常がないと判断されたにもかかわらず
うまく動作しない場合、まずはインベントリを行っていただくことをお勧めします。
- NetWorker でバーコードラベルを使用している場合、外部保管等の際に、バーコードの張替えを行わないようにして下さい。
NetWorker はバーコードをボリューム名として管理するために、メディアデータベースに保持するだけでなく、
媒体内にバーコードの書き込みを行っています。
そのため、媒体のバーコードの張替えが行われると、 [媒体に書き込まれているバーコード]と[貼られているバーコード]とに、
バーコード番号の不一致が発生し、正しく管理を行うことが出来なくなります。
関連FAQ:NetWorkerでテープドライブを使う上での基礎知識