ディスクの二重化、RDRの設定前にパーティション設定をした場合、その後に、モジュール停止やディスク交換を行うと、OS起動後に拡張パーティション上の論理ドライブにアクセスできなくなる場合があります。
対象装置:
Express5800/R320c および R320d の Windows Server 2008 R2 モデル
なお、マニュアルには、ディスクの二重化、RDRの設定を先に行う手順が記載されています。
また、適切な手順で内蔵ディスクの二重化をした場合でも、ディスク交換を行うと、同様の不具合が生じる可能性があります。
そのような不具合を回避するため、拡張パーティションを利用される場合は、内蔵ディスクの二重化設定のうち、Volume Optimized Resync(VOR)機能を“無効”としてください。
VOR機能を無効化しない状態で拡張パーティションを作成して運用された場合でも、拡張パーティションを作成した時点で実装していたディスク(同期元のディスク)がOS上で認識されている間は、支障なく拡張パーティションを利用できます。
ただし、拡張パーティションを作成した時点で実装していなかったディスクが存在する場合、OS再起動やモジュール縮退のタイミングで拡張パーティションがOS上で参照できなくなり、[コンピュータの管理] - [ディスクの管理] にて該当の論理ドライブが表示されず“空き領域”と表示されて、その論理ドライブにアクセスできなくなります。このとき同期元のディスクが正常な状態であれば、後述の
「2.同期元とするディスクの確認」に記載手順により復旧が可能です。
(正常時)
(不具合発生時)
<留意点>
以降の説明では、拡張パーティション上の論理ドライブが表示されなくなる事象を“本事象”と表記しています。
すべてのドライブが正しく表示されている場合でも、内蔵ディスクに拡張パーティションを作成している場合は、今後、本事象の発生を予防するため、後述の手順を実施してください。
この手順ではディスクの再同期をするため、ディスク容量に応じて再同期完了までの時間が必要です。
RDR Utility で Resync Priority を“High”に設定し、300GB のディスクを再同期させた場合であれば、完了までに 35 分程度かかります。
再同期の所要時間については、本コンテンツの末尾の関連情報を参照してください。
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本技術情報は、以下のバージョンのft制御ソフトウェアが動作する環境にのみ該当します。
- 8.1.2148(R320c-E4/M4)
- 8.1.2214(R320c-E4/M4)
- 9.1.2353(R320c-E4/M4、R320d-M4)
<留意点>
上記以外のバージョンでは、本事象は発生しておりません。
ft制御ソフトウェアを 9.1.2557 以降へアップデートすることで、本事象の発生を回避できますが、すでに内蔵ディスクに拡張パーティションを作成している場合は、必ず後述の確認および復旧手順を実施後にアップデートしてください。
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以下の手順で同期元とするディスクを確認してください。
拡張パーティションのある内蔵ディスクが複数ある場合は、それぞれのディスクについて、以下の手順を実施してください。
(システム運用の過程で、OS再起動時に本事象が発生した場合は、以下の手順で暫定的に復旧できます。その後、次項の復旧手順で恒久的な処置を実施してください。)
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内蔵ディスクについて、拡張パーティションを作成していたディスクの番号(Windowsの「ディスクの管理」で表示される番号と、実際のディスクのスロット番号)を確認してから、OSをシャットダウンします。
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拡張パーティションを作成している内蔵ディスクについては、プライマリ側のPCIモジュールのディスクは装てんしたままとし、セカンダリ側のPCIモジュールのディスクはスロット番号の取り違えがないようにタグ付けをするなどした上で取り外してください。
このとき、拡張パーティションを作成していない二重化ディスクは取り外す必要はありませんので、両PCIモジュールに装てんしたままにしてください。
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OSを起動します。
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OS起動後、[コンピュータの管理] - [ディスクの管理] ですべてのドライブが正しく表示されていることを確認します。
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手順 4 ですべてのドライブが正しく表示されていることを確認しましたら、このときのディスク構成のまま、後述の「3.復旧手順」を実施します。
手順 4 で、存在するはずのドライブが“空き領域”になり、正しくドライブが表示されない場合は、一旦OSをシャットダウンし、手順 2 で装てんしたままのディスクと取り外したディスクを入れ替え、手順 2 ~ 5 をやり直してください。
(このとき、複数のスロットに拡張パーティションを作成していた場合は、同じスロット番号の場所で入れ替えてください。)
手順をやり直す際も、拡張パーティションを作成していない二重化ディスクは取り外す必要はありませんので、拡張パーティションを作成しているディスクのみを入れ替えてください。
同期元とするディスクを確認しましたら、各ディスクが元々どのスロットに装てん/取り外しされていたかがわかるようにした後、以下の手順でディスクを二重化状態(ミラー状態)に復旧させてください。
なお、以下の復旧手順では各種設定のため、OS起動後はビルトインアカウント(Administrator)でログオンしてください。
- Volume Optimized Resync(VOR)機能を無効にします。
regeditでのレジストリの編集、または設定変更ツール(バッチファイル)のどちらかで変更します。
- regeditでのレジストリの編集の場合
- OSが起動している状態で、[スタート] から [ファイル名を指定して実行] を表示させ、名前欄に“regedit”と入力し、OKボタンをクリックし、レジストリエディタを起動します。
- 以下のキー配下に存在する“EnableVor”を右クリックし、修正を選択します。
その後、値を 1 から 0 に変更し、OKボタンをクリックします。
値を入力の際、表記の選択は16進数と10進数のどちらでも構いません。
なお、誤った設定で保存しないよう、レジストリの編集には十分にご注意下さい。
キー : HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\services\Sradisk\Parameters
名前 : EnableVor
種類 : REG_DWORD
データ : 0 (変更後)
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- VOR機能の設定の反映のため、OSをシャットダウンします。
- 設定変更ツール(バッチファイル)での変更の場合
本ページ下部の[ダウンロード]よりExpress5800/ftサーバ Volume Optimized Resync(VOR)設定変更ツール(VOR_Setting_Tool.zip)をダウンロードし、
圧縮ファイルに含まれる readme.txt を参照して【VOR機能を無効に変更する場合】に記載のとおりに実行してください。
なお、readme.txt の手順の最後でOSを再起動するように記載されていますが、以降の作業のためにここではOSをシャットダウンしてください。
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同期先として使用するディスクを用意します。
新品のディスクや物理フォーマットされたディスクがない場合、取り外しているディスクを SAS Configuration ユーティリィティで物理フォーマットします。
その際、物理フォーマットを行わないディスクは、安全のために装置から取り外してください。
新品のディスクや物理フォーマットされたディスクがある場合は、手順 4 以降を実施してください。
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物理フォーマットが完了しましたら、OSをシャットダウンし、復旧手順開始時のディスク構成に戻します。
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OSを起動後、同期先のスロットに新品または物理フォーマットしたディスクを装てんし、RDR Utility で同ディスクに対して以下の操作を行い、ディスクの二重化を開始します。
Add Physical Disk To RDR Virtual Disk
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ディスクの二重化が完了しましたら、作業は完了となります。
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VOR機能は、ディスクの再同期時間を短縮するために、ディスクの未使用領域を同期(二重化、ミラー)の対象外とするものです。
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「1.該当するft制御ソフトウェアのバージョン」に記載のバージョンのft制御ソフトウェアの初期設定では、VOR機能が有効になっています。
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VOR機能を有効にした場合、未使用領域は同期しないため、プライマリパーティション以外(拡張パーティション) については、マニュアルに記載の内容とは異なる手順で設定をした場合(ディスクを二重化する前に拡張パーティションを作成した場合)、今回のような不具合が生じます。
また、適切な手順で二重化したディスクに拡張パーティションを作成した場合でも、そのディスクの交換を行うと、同様の不具合が生じる可能性があります。
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VOR機能を無効にした場合はディスクのすべての領域が同期の対象となります。
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VOR機能を有効から無効に設定を変更しても、ディスクの二重化動作に問題はありません。
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VOR機能を無効にした状態でft制御ソフトウェアをアップデートした場合、VOR機能は有効な設定に戻ります。
アップデート後のft制御ソフトウェアが本事象の対処済みのバージョン(9.1.2557以降)である場合は、アップデート後にVOR機能を再度無効に設定する必要はありませんが、未対処のバージョンの場合は、VOR機能を再度無効に設定してください。(「3.復旧手順」の手順 2 ~ 3)
なお、内蔵ディスクに拡張パーティションを作成している場合は、必ず「2.同期元とするディスクの確認」、「3.復旧手順」を実施後にアップデートしてください。
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VOR機能が有効の場合でも、プライマリパーティションでは本事象は発生しません。
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1台の物理ディスクに、MBR形式では最大で4、GPT形式では最大で128のプライマリパーティションが作成できます。
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Windows Server 2008 R2 環境のシステムディスクには初期状態で、「システムで予約済み」という名前のものとCドライブの2つのプライマリパーティションが作成されています。
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MBR形式のディスクで [ディスクの管理] から新しくパーティションを作成する場合、3つ目までは自動的にプライマリパーティションとなりますが、4つ目は自動的に拡張パーティションとなります。
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MBR形式のディスクで4つすべてをプライマリパーティションにする場合、diskpart コマンドを使用してプライマリパーティションを作成してください。
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パーティションを作成後、拡張パーティションからプライマリパーティションに変換することはできません。
復旧手順を実施することで拡張パーティションのままでも問題なくご利用できますが、パーティションの種類を変更する必要がある場合は、該当パーティション内のデータをバックアップし、プライマリパーティションで再作成後、データをリストアするといった手順をご検討ください。