機種が Express5800/R320a ~ R320g、かつ、OS が Windows Server 2008 以降のモデルでは、物理メモリのサイズがページングファイルサイズより大きい場合でも、障害発生に伴う Windows OS によるメモリダンプの採取時に最低限の情報が採取されるように、出荷時に DedicatedDumpFile 機能の設定をしております。
【表1】機種毎の出荷時の DedicatedDumpFile 機能の初期値
ftサーバ の機種 |
ft制御ソフト のバージョン |
物理メモリ |
初期サイズ (DumpFileSize) |
ファイル名 (DedicatedDumpFile) |
R320a R320b |
全バージョン ※1 |
- |
4GB (4097MB) |
C:\NtKernel.dmp |
R320c R320d |
8.1系 |
- |
8GB (8193MB) |
9.1系 |
192GB 以下 |
8GB (8193MB) |
256GB |
10GB (10240MB) |
R320e R320f R320g |
全バージョン |
192GB 以下 |
8GB (8193MB) |
256GB 320GB ※2 |
10GB (10240MB) |
512GB |
14GB (14336MB) |
640GB ※2 |
16GB (16384MB) |
R320h |
全バージョン |
- |
設定なし |
設定なし |
※1:Windows Server 2008 / Windows Server 2008 R2 モデルのみ。
※2:320GBと640GBはR320g のみ。
ご使用の ftサーバに搭載されている物理メモリサイズが、【表1】の初期サイズより大きい場合、システムのメモリ使用状況によっては、メモリダンプが正常に採取されない可能性があります。
搭載されている物理メモリサイズに合わせて、以下の<判断条件>から対処方法を選択のうえ、対処を実施してください。
<留意点>
-
ft制御ソフトウェアのアップデートを実施すると、DedicatedDumpFile 機能が再設定されるため、アップデート後には再度対処を実施してください。
-
メモリダンプの種別が「カーネルメモリダンプ」、「完全メモリダンプ」のいずれあっても、同様に DedicatedDumpFile 機能の設定の見直しが必要となります。
<補足>
-
DedicatedDumpFile 機能の設定は、メモリダンプの採取時のみに影響します。設定が物理メモリサイズに合っていない場合でも、通常のシステムの運用に影響はありません。
-
R320c / R320d で物理メモリサイズが 64GB を超える場合には、「完全メモリダンプ」が採取できません。下記「4.その他の関連事項」の項番4を参照願います。
-
R320e / R320f で物理メモリサイズが 32GB を超える場合には、メモリダンプが採取できないことがあります。下記「4.その他の関連事項」の項番5を参照願います。
<補足:DedicatedDumpFile 機能について>
DedicatedDumpFile 機能の設定によるダンプ出力の動作は Windows Server の標準機能ですが、ftサーバの初期設定を踏まえて以下に補足説明いたします。
- DedicatedDumpFile 機能とは、 Windows OS によるメモリダンプ採取の際に、ページングファイルに代わってメモリの情報が格納される領域として使用される Windows Server の標準機能です。
メモリダンプの採取時、DedicatedDumpFile レジストリの設定がある場合には、メモリ情報がまず DedicatedDumpFile で指定された領域に格納されたのち、メモリダンプファイルが作成されます。
DedicatedDumpFile レジストリの設定がなければ、メモリ情報はページングファイルに格納されたのち、メモリダンプファイルが作成されます。
- DedicatedDumpFile の設定により作成されるファイル領域(C:\NtKernel.dmp)は、隠し属性のファイルとして常時確保され、メモリダンプ採取時のみに使用されます。DedicatedDumpFile 設定を解除すると、このファイル領域は解放されます。
Cドライブのディスク容量が不足している場合には、DedicatedDumpFile の設定解除か、設定先ドライブの変更をご検討ください。
- ダイナミックディスク上のボリュームには、DedicatedDumpFile を設定できません。
- DedicatedDumpFile 機能、および、関連するレジストリの詳細については、以下のマイクロソフト社の技術情報を参照ください。
1.DedicatedDumpFileの設定を解除するか、設定を変更するかの判断方法
<判断条件>
お客様環境のシステムディスク(Cドライブ)のページングファイルのサイズを、物理メモリ+300MB(または400MB ※2)以上に設定することが可能であるか。
(ページングファイルサイズの推奨値は物理メモリサイズの 1.5 倍以上となります。)
<補足>
-
メモリダンプの種別が「完全メモリダンプ」、「カーネルメモリダンプ」のどちらの設定の場合でも、上記のサイズとなります。
■ ページングファイルの設定が可能である(既に設定している)場合
⇒「
2.DedicatedDumpFileの設定を解除する方法」が推奨となりますが、
「
3.DedicatedDumpFileの設定を変更する(解除しない)方法」で
対処する事も可能です。
■ ページングファイルの設定ができない場合
⇒「
3.DedicatedDumpFileの設定を変更する(解除しない)方法」を
ご確認ください。
<補足>
Windows Server 2008 R2 以降であれば、Cドライブにページングファイルを確保できない場合でも、別ドライブにページングファイルを設定して、メモリダンプを採取することが可能です。
ただし、設定や制限が複雑なことや、ダイナミックディスク上のページングファイルではメモリダンプが採取できないなどの理由から、基本的には、Cドライブにメモリダンプ採取に必要なページングファイルサイズを設定いただくことを推奨しています。詳細については、下記コンテンツをご確認ください。
なお、上記コンテンツの説明にそって、Cドライブ以外に正しくページングファイルを設定いただいた場合には、DedicatedDumpFileの設定を解除する事が可能ですので、「2.DedicatedDumpFileの設定を解除する方法」を実施願います。
2.DedicatedDumpFileの設定を解除する方法
システムディスク(Cドライブ)のページングファイルのサイズを、物理メモリ+300MB(または400MB
※2参照)以上に設定が可能な場合には、DedicatedDumpFileの設定が不要となりますため、設定を解除しても問題はありません。
まず、
ページングファイル設定を必要に応じて 上述のサイズ に変更した後、下記の手順にて、 DedicatedDumpFile の設定を解除します。
<解除手順>
レジストリエディタを開き、以下の2つレジストリ( DedicatedDumpFile および DumpFileSize )
を削除します。
なお、レジストリ変更を有効にするために OSを再起動する必要があります。
※レジストリの編集には十分にご注意下さい。
レジストリ
---------
キー : HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\CrashControl
名前 : DedicatedDumpFile
種類 : REG_SZ
データ : C:\NtKernel.dmp (初期値)
キー : HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\CrashControl
名前 : DumpFileSize
種類 : REG_DWORD
データ : (初期値は 4097 ~ 16384 (10進数、単位:MB) )
---------
OSの再起動後、Cドライブに DedicatedDumpFile (C:\NtKernel.dmp) が残っておりましたら、下記の手順で削除をお願いします。
(DedicatedDumpFile の設定を解除せずに C:\NtKernel.dmp は削除できません)
<DedicatedDumpFile(C:\NtKernel.dmp)の削除方法(例)>
-
コマンドプロンプトより、Cドライブ直下に移動し、以下のコマンドにて NtKernel.dmp ファイルが残っているかを確認します。
(隠し属性のファイルになっていますので、必ず /ah オプションを付けてください)
C:\> dir /ah
-
ファイルが残っていた場合には、以下のコマンドで削除します。
C:\> del NtKernel.dmp /ah
3.DedicatedDumpFileの設定を変更する(解除しない)方法
DedicatedDumpFileのサイズ( DumpFileSize レジストリの値 )を物理メモリ+300MB(または400MB
※2参照)以上に拡大する必要があります。
なお、DedicatedDumpFile ( NtKernel.dmp ) の格納先は、空き容量の大きい別ドライブに変更することが可能です。
<設定変更手順>
レジストリエディタを開き、以下の2つのレジストリ( DedicatedDumpFile および DumpFileSize )を変更します。
なお、レジストリ変更を有効にするために OSを再起動する必要があります。
※レジストリの編集には十分にご注意下さい。
レジストリ
---------
キー : HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\CrashControl
名前 : DedicatedDumpFile
種類 : REG_SZ
データ : C:\NtKernel.dmp ←★必要に応じて格納先ドライブを変更します
例) D:\NtKernel.dmp
キー : HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\CrashControl
名前 : DumpFileSize
種類 : REG_DWORD
データ : (初期値は 4097 ~ 16384 ) ←★物理メモリ+300MB(または400MB)以上
を指定します
---------
<留意点>
-
上記の変更により、DumpFileSizeで指定したサイズの NtKernel.dmp ファイルが指定されたドライブ上に常時確保されるようになりますので、ディスクの空き容量にご注意願います。
-
ダイナミックディスク上のボリュームには、DedicatedDumpFile を設定できません。
DedicatedDumpFile ( NtKernel.dmp ) の格納先をCドライブから別ドライブに変更した場合、OSの再起動後、Cドライブに NtKernel.dmp が残っておりましたら、上述の
<DedicatedDumpFile(C:\NtKernel.dmp)の削除方法>の手順で削除して下さい。
4.その他の関連事項
- メモリダンプの出力先について
メモリダンプの出力先には、物理メモリ+ 300MB(または400MB ※3)以上の空き容量のあるドライブを指定してください。
※3:メモリダンプファイルの格納先に必要となる、OS 毎のディスクの空き容量のサイズは以下となります。
Windows Server 2008(R2を含む)の場合には、物理メモリ+300MB以上
Windows Server 2012 以降の場合には、物理メモリ+400MB以上
メモリダンプの出力先に設定したフォルダは事前に作成しておく必要があります。
メモリダンプの出力先の設定方法は、マニュアルを参照してください。
- ページングファイルの設定変更方法
ページングファイルの設定変更方法については、マニュアル (項番1に同じ)を参照してください。
- ページングファイルを SAN上に設定した場合の注意点
ページングファイルが SAN(Storage Area Network)上に設定されており、マルチパス接続などの場合には、使用上の制限によりメモリダンプが採取されない場合があります。
- R320c / R320d で物理メモリサイズが 64GB を超える場合の注意点
Express5800/ R320c / R320d で物理メモリサイズが 64GB を超える場合には、「完全メモリダンプ」が採取できません。その場合、ダンプの種類は「カーネルメモリダンプ」に設定し、クイックダンプ機能を有効にしてください。
詳細については、マニュアル 差紙「ご使用時の注意事項」の、「14.物理メモリ容量が64GBを超える場合の注意事項」を参照願います。
- R320e / R320f で物理メモリサイズが 32GB を超える場合の注意点
Express5800/ R320e / R320f で、物理メモリサイズが 32GB を超えている場合には、「完全メモリダンプ」が採取できないことがあります。
詳細については、インストレーションガイドの「6.1.4 搭載メモリサイズが 32GBを超える場合の注意事項」を参照願います。
更新履歴
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2021/01/28
Express5800/R320h(Windows Server 2016)のリリースに伴い、R320h についての説明を追加しました。
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2019/03/07
Express5800/R320g(Windows Server 2016)のリリースに伴い、R320g についての説明を追加しました。
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2017/11/22
Express5800/R320f(Windows Server 2016)のリリースに伴い、R320f についての説明を追加しました。
マイクロソフト社の技術情報(KB969028)での表記変更に伴い、従来「Dedicated Dump File」と表記していた部分を「DedicatedDumpFile」に変更しました。